建設業許可の営業所とは?要件や許可への影響を解説

公開日2024年11月27日
更新日2024年11月28日

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営業所といっても、建設業許可を取得するにあたり営業所の要件や、営業所によって取得する許可の違いなどがあります。
建設業許可の手続きをする前に営業所について把握しておくことは重要ですので、本記事で建設業許可の営業所について解説します。

建設業許可の営業所とは?

看板などで外観上営業所としての形態を備えており、見積もりや契約を常時行なっている場所になります。
資材置き場や休憩所は営業所には該当しません。

また、実態上での判断となるため登記の有り無しは関係ありません。
登記上は本店になっている場合でも、実際は見積もりや契約などを行なっていない場合は営業所には該当ないのです。

建設業許可における営業所の要件

要件については各都道府県により異なります。
具体的な営業所の要件としては下記などがあります。

  • 机、電話及びファクシミリがあること
    一つの電話回線(FAXを含む)について、複数の業者で共有することは認められません。
    また、他者名義の電話回線を借用することも認められません。
    転送電話は、テレワークによる業務に使用する場合のみ認められます。
    当然、電話代行、秘書サービス等の利用も認められません。
    留守番電話は問題ありませんが、返答の連絡がない場合には、郵送による連絡や立入検査により、営業所の実態について確認を行われる場合があります。
    連絡先とする電話回線について申請者(法人の場合は契約が法人名義であること。)が契約者となっている携帯電話はOK
  • 常時契約行為を締結するために必要な営業所としての建物が存すること
  • 同一の営業所において複数の建設業者が存在しないこと
    壁で完全に仕切られており、人的にも設備的にも別の事業者であることが明確な場合は、同一の建物内でもOK
  • 住居と建設業の営業所を兼ねている場合は、居住用のスペースと建設業の営業に使用するスペースが明確に区分されていること
    出入口についても別であることが望ましいが絶対では無く、居住専用のスペースを通ることなく営業所に行ける場合は、出入口の区分が明確にされていなくても申請書は受理されます
  • 常時契約を締結する場所であること
  • 帳簿(契約書を含む。)を保存していること

下記の点にも注意が必要です。
※公営住宅については営業所にできない
※賃貸マンション等は契約書や同意書に営業を認めていることが必要
※許可後に営業所建物が他法令に違反する建築物であり、監督行政庁から行政処分を受けた場合等には許可が取り消されることがある

建設業許可の主たる営業所とは?

建設業許可における主たる営業所とは、建設業を営む営業所を統轄し、指揮監督する権限がある営業所のことで建設業者の本社となる場所で、各種業務を行う拠点のことを指します。
※名目上本社でも実態を要していない場合は主たる営業所にはなりません。
経営業務の管理責任者はこの主たる営業所に配置が必要になります。

建設業許可の従たる営業所とは

従たる営業所とは主たる営業所以外の建設業を営む営業所のことを言います。
従たる営業所は必ず必要ではなく、事業の目的に応じて設置するものになります。

経営業務の管理責任者の配置は不要ですが、下記の配置が必要になります。

  • 常勤の専任技術者
  • 常勤令3条の使用人
    ※令3条の使用人とは契約締結などをするにあたり権限を有するもので、従たる営業所の代表者のことです。

営業所による建設業許可の違いについて

建設業許可には都道府県知事許可と国土交通大臣許可があり、営業所が同じ都道府県のみにあるか、都道府県を跨いで複数あるかで取得する建設業許可の種類が変わります。

都道府県知事許可 営業所が同じ都道府県内のみにある場合は都道府県知事許可が必要です。
例えば、
岡山県に主たる営業所だけがある場合は岡山県知事許可。
岡山県に主たる営業所があり、従たる営業所も岡山県にある場合も岡山県知事許可。
になります。
国土交通大臣許可 営業所が都道府県を跨いで複数ある場合は国土交通大臣許可が必要です。
例えば、
岡山県に主たる営業所があり、広島県に従たる営業所がある場合は国都交通大臣許可になります。

あくまで、営業所の所在地をベースに考えるため、建設現場が都道府県を跨いで事業をしていても、営業所が都道府県を跨いで存在していないのであれば都道府県知事許可で良いのです。

建設業許可の営業所に関するまとめ

建設業許可の営業所に関する内容を解説しました。
営業所はあくまで実態上での判断になりますので注意が必要です。

都道府県知事許可になるのか国土交通大臣許可になるのかも、事業に大きく影響がありますので自社がどちらに該当するのか確認した上で建設業許可申請の手続きを進めましょう。


この記事を書いた人
行政書士 山本祐輔

リガース行政書士事務所 代表
山本 祐輔

行政書士/宅地建物取引士/上級ウェブ解析士/2級FP技能士

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