建設業許可を取得するのに資本金は最低いくら必要?

公開日2024年11月23日
更新日2024年12月09日

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建設業許可を取得するためには、資本金にも注意が必要です。
本記事では、建設業許可と資本金の関係を解説します。
建設業許可と資本金の関係は深く、許可の種類や財産要件によって必要な資本金が異なります。
また、資本金は許可後も維持しなければならないケースもあります。
本記事の知識を活用して、円滑な建設業許可取得を目指しましょう。

建設業許可と資本金の関係は?

そもそも建設業許可と資本金自体に関係がどのようにあるのかを許可の種別ごとに把握することが重要になります。

建設業許可と会社の資本金との関係

建設業許可と会社の資本金には関係があります。
建設業許可においては、資本金額が許可要件の一部であり、特定の金額以上を用意することが求められます。

許可の種類によって、必要な資本金も異なります。
一般建設業と特定建設業に分けられ、それぞれの業種ごとに資本金要件が定められていますので以下見ていきます。

一般建設業の場合

要件は3つありますがいずれかを満たしていればOKとなります。

  1. 500万円以上の資金調達能力があるとみとめられること
    500万円以上の残高証明書(受付日から1ヶ月以内のもの)があればOK
  2. 自己資本の額が500万円以上あること

    法人の場合は
    貸借対照表における純資産合計の額

    個人事業主の場合は
    「期首資本金+事業主借勘定+事業主利益 - 事業主貸勘定+利益留保性の引当金・準備金」

  3. 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績があること

一般建設業の場合、要件の中に「資本金」という言葉はでてきません。
ですので一般建設業の場合は資本金は直接的な資本金の要件としてはありません。
似ている言葉で「自己資本」がでておりますが、説明の通り資本金とは異なります。
ただし、自己資本の中に資本金も含まれますので要件に関係はしております。

創業して間もない会社で決算期を迎えていない会社は、資本金が自己資本となりますので資本金を500万円とすればその時点で要件は満たすことになります。
上記の場合で資本金を500万円にすることが難しい場合は無理にする必要はありません。
500万円以上の資金調達能力があれば良いので、500万円以上の残高証明があれば要件を満たせます。
この残高証明は許可以降ずっと500万円以上を満たしていないかというと、そうではなく申請時に瞬間的に満たしていれば問題ありません。(資金調達能力があることを証明できれば良いので)

特定建設業の場合

特定建設業では一般建設業と比べて要件が厳しくなり、以下の4つ全てを満たす必要があります。

  1. 資本金が2000万円以上あること
  2. 自己資本が4000万円以上あること
  3. 欠損額が資本金の20%以下

    法人の場合は
    貸借対照表の繰越利益剰余金が負のときにその額が資本剰余金、利益準備金およびその他利益剰余金の合計額を上回る額

    個人事業主の場合は
    事業主損失が事業主仮勘定の額から事業主貸感情の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金および準備金を加えた額を上回る額

  4. 流動比率が75%以上

一般建設業にはなかった資本金の要件が特定建設業にはあります。
特定建設業の場合は資本金が2000万円以上ないと許可を取得できません。
※直前決算時に達していなくてもその後の増資で申請前に要件を満たせば大丈夫です。

許可取得後の資本金について

許可取得時は要件を満たしていたが、許可取得後にも維持する必要があるのか?
こちらも一般建設業と特定建設業で異なります。

一般建設業の場合

資本金自体は許可の要件にはなっていないため、維持する必要はありません。
ただし、自己資本の中に資本金も含まれているため、資本金を減らして自己資本が500万円未満となってしまう場合は注意が必要です。
許可を取得してから5年後の初めての更新時は前述の財産的要件①もしくは②を満たしている必要があります。
毎年必要な決算変更届はこれらの要件確認はありません。

ここで注意が必要なのが、初めての更新でも前述③の「許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績があること」が適用されるので、自己資本や残高証明での要件を満たしている必要はないのでは?
と思われる人も多いのではないでしょうか。

この点分かりづらいのですが、例えば2025年4月1日に許可を取得した場合、2030年3月31日が許可の有効期限となります。
この日までに更新を完了しておかないといけないわけですから、「5年間許可を受けて継続して営業した」にはならないのです。

ですので新規の許可申請時と初回の更新時は資本金も関係してくるため注意しましょう。
2回目の更新以降は許可を受けて5年以上継続して営業していることになり、自己資本や残高証明での財産要件の証明は不要になるため、基本的には資本金は関係なくなります。

特定建設業の場合

一般建設業と違い、資本金は要件となっており許可取得後も資本金2000万円以上の要件は満たしておく必要があります。
一般建設業の場合は2回目以降の更新からは営業を継続していればOKというルールがありましたが、特定建設業には無いため、資本金の額が2000万円未満にならないよう注意しましょう。

建設業許可と資本金のポイントまとめ

建設業許可に関する資本金について解説しました。
大きな分け方で見ると下記になります。

  • 一般建設業は資本金に関する要件はないので、資本金が少ないからといって建設業許可が取れないわけではない。
  • 特定建設業には資本金に関する要件があるため2000万円以上資本金がないと建設業許可は取れない。

ご自身の取得する許可やキャッシュ状況に合わせて資本金を決めて、スムーズに建設業許可を取得できるようにしましょう。

要件を満たせているかわからない。証明に必要な書類がわからない。
などで迷った際は専門家である行政書士に相談してみることをおすすめします。


この記事を書いた人
行政書士 山本祐輔

リガース行政書士事務所 代表
山本 祐輔

行政書士/宅地建物取引士/上級ウェブ解析士/2級FP技能士

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