建設業許可の経営業務の管理責任者とは 要件についても徹底解説

公開日2024年11月05日
更新日2025年01月03日

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建設業許可を取得するにあたりに経営業務管理責任者は欠かせない存在です。
本記事では、経営業務管理責任者の経験要件や申請手続きの際のポイントなどについて徹底解説します。

また、建設業許可は各都道府県で要件のポイントが異なるケースがあります。
参考として岡山県で建設業許可を取得するポイントを例としてこちらの記事で解説しておりますのでご参考にしてください。

建設業許可の経営業務管理責任者とは?

建設業許可の経営業務管理責任者は、建設業の経営に関する一定の経験を有する者を指し、建設業の許可を取得する際の要件となっています。

建設業は経営が他業種と異なり大きな金額が動くので、許可業者には経営能力を確保す流ためにこの経営業務管理責任者の設置が義務付けられているのです。

必要な経験年数の要件

経験要件を満たすためには建設業法において定められた実務経験期間が求められます。
以下の①と②を満たす必要があります。なお専任技術者のように一般と特定で要件の違いはありません。
それでは順に見ていきましょう。

①建設業に関し経営業務の管理経験等を有する常勤役員等を置くこと

常勤役員等とは、法人の場合は常勤の役員、個人の場合はその者又は支配人になります。
経験については許可業種ごとである必要はなく。いずれかの業種で経験があれば良いです。
具体的には下記のいづれかとなります。

  • 建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者
    →具体的には、建設業を営業していた法人の常勤の役員(取締役・理事等)、個人事業主、令3条の使用人(支店長等従たる営業所の代表者、個人事業主の支配人等)の経験が必要です。
  • 建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る)として5年以上経営業務を管理した経験を有する者
    →「経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者」とは具体的には執行役員のことになります。
  • 建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として6年以上経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
    →具体的には、法人の場合には、取締役等に次ぐ地位であって資金調達、技術者等配置、契約締 結等の業務全般に従事した経験のあること。個人事業主の場合には、事業主を補佐していた親族 (事業専従者及びそれに準じる者に限る)で経営業務を管理した経験のあることが必要です。
    「経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者」とは具体的には副支店長などのことになります。支店長については取締役と同等の扱いとなります。
  • 建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営を担当する者に限る)としての経験を有する者
    →「財務管理の業務経験」とは、建設工事を施工するに当たって必要な資金の調達や施工中の資金繰りの管理、下請業者への代金の支払いなどに関する業務経験を、「労務管理の 業務経験」とは、社内や工事現場における勤怠の管理や社会保険関係の手続きに関する業務経験を、「業務運営の業務経験」とは、会社の経営方針や運営方針の策定、実施に関する業務経験をいいます。
  • 5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者

②適切な社会保険に加入していること。健康保険、厚生年金保険及び雇用保険に関し、全ての適用事業所又は適用事業について、適用事業所又は適用事業であることの届出を行っていること。

令和2年10月の要件緩和による変更点

令和2年10月には、建設業界における要件緩和が実施されました。
この変更により、許可を受ける業種に関する経験が必要だったものが必要なくなりました。
つまり経験年数については専任技術者とは違い、建設業の業種は問われません。
ですので許可を取得したい業種でない場合の経験でも、経験年数としてカウント可能です。
例えばとび・土工の許可を取得したい場合、以前はとび・土工の業務を扱う業者で経営経験がないと要件を満たせませんでしたが、今はそれ以外の28業種での経営経験であっても要件を満たすことになっています。

要件の証明方法(必要書類)

経営経験があることを根拠の裏付けとなる書類で証明が必要となります。

経営経験があることの証明

法人の常勤取締役の場合 「履歴事項全部証明書」で該当の期間に役員であったかを確認
個人事業主の場合 個人事業主の際の「確定申告書」(証明する経験年数分)
執行役員等の場合 辞令、職制図、定款執行役員規定など

建設業での経営経験があることの証明

上記経営経験があることを証明した業者が、建設業を営んでいるかということを証明する必要があります。

許可業者の場合 実務経験を証明する期間に建設業許可業者であったことを証明するための書類として「建設業許可証」など
無許可業者の場合
  • 契約書
  • 注文書と請書

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など

これらの書類を経営経験を証明する期間分用意する必要があります。
ただし、都道府県によって必要数が変わってきます。
契約書や注文書などは、
証明期間内の1年に1件で良いところもあれば、数ヶ月に1件で良いところもあります。

常勤性の証明

常勤性を証明する書類は下記となります。

  • 健康保険証
  • 標準報酬決定通知書

など

※個人事業主本人が経営業務管理責任者になる場合はこれらの書類は基本不要となります。

各営業所への配置について

経営業務の管理責任者は主たる営業所に配置されていれば、各営業所への配置は必要ありません。
ただし、各営業所には「建設業法施行令第3条に規定する使用人」の配置が必要になりますので注意が必要です。
「建設業法施行令第3条に規定する使用人」とはその営業所での契約などに関し一定の権限を持っているものになります。
支配人、支店又は営業所(主たる営業所を除く。)の代表者である者が該当となります。

許可取得後の変更時の手続きと注意点

経営業務の管理責任者に変更があったときは2週間以内に届出が必要となります。

死亡などによる突然の不在時に要件を満たす代わりの人がいない場合は、14日以内に経営業務の管理責任者が不在になった旨の変更届を提出します。
※不在になった旨も提出する必要があることは注意が必要です。

その後30日以内に廃業届を提出します。
廃業届といっても事業そのものの廃業ではなく、建設業許可が取り消されるという意味合いになります。
経営業務の管理責任者が新たに見つかった場合は再度許可を取得することができます。

経営業務の管理責任者不在の事態を避けるために日頃から次の候補者を決めておくことが重要になります。

まとめ

建設業許可の申請において経営業務の管理責任者は必須であり、建設業を適切に経営するための経験と資格が求められます。
裏付けとなる書類の収集などもあり、ハードルが高い内容となります。

許可取得後も常に経営業務の管理責任者を確保できるよう次の候補者を確保しておくことが重要になります。

「要件を満たしているのかわからない」、「書類が合っているのかわからない」などのお悩み事がある場合は、
専門家である行政書士へご相談することで手続きがスムーズに進むと思いますので一度ご検討していただくことをお勧めします。


この記事を書いた人
行政書士 山本祐輔

リガース行政書士事務所 代表
山本 祐輔

行政書士/宅地建物取引士/上級ウェブ解析士/2級FP技能士

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