とび・土工・コンクリート工事業における建設業許可の要件

公開日2024年11月16日
更新日2024年11月16日

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とび・土工・コンクリート工事業はインフラ整備や再開発などで需要の高い業種です。
事業を拡大していく中で、元請業者から建設業許可を取得している業者でないと仕事を回せない。となった場合許可を取得していなければ事業に大きな影響を与えてしまいます。
また、公共工事を請け負う場合は建設業許可を取得していることが大前提となります。
この記事では、そんなとび・土工・コンクリート工事において建設業許可を取得する要件などを解説します。

とび・土工・コンクリート工事とは

以下をおこなう工事のことが「とび・土工・コンクリート工事」に該当します。

工事内容
足場の組立、機械器具・建築資材等の重量物の運搬配置、鉄骨等の組立などを行う工事 とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物の揚重運搬配置工事、鉄骨組立て工事、コンクリートブロック据付け工事
くい打ち、くい抜き及び場所打ちぐいを行う工事 くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ぐい工事
土砂等の掘削、盛り上げ、締固めなどを行う工事 土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事
コンクリートによる工作物を築造する工事 コンクリート工事、コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事、プレストレストコンクリート工事
その他基礎的ないし準備的工事 地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、法面保護工事、道路付属物設置工事、屋外広告物設置工事(『鋼構造物工事』における「屋外広告工事」以外のもの)、捨石工事、外構工事、はつり工事、切断穿孔工事、アンカー工事、あと施工アンカー工事、潜水工事

とび・土工・コンクリート工事での建設業許可取得の要件

大きく分けて下記6つのポイントがあります。

  • 専任技術者の確保
  • 経営業務の管理責任者の確保
  • 財産的基礎
  • 誠実性
  • 欠格要件に該当しないこと
  • 社会保険の加入

今回の記事ではとび・土工・コンクリート工事業特有の内容がある「専任技術者の確保」について特に掘り下げて解説します。

とび・土工・コンクリート工事業許可における専任技術者の配置(一般建設業)

専任技術者の要件を満たすには、一定の国家資格を有することもしくは一定の実務経験があることが求められます。
一般建設業と特定建設業で要件が異なりますのでそれぞれを記載します。

一定の国家資格

保有していれば経験年数が不要になる資格

  • 1級建設機械施工管理技士
  • 2級建設機械施工管理技士
  • 1級土木施工管理技士
  • 2級土木施工管理技士(土木)
  • 2級土木施工管理技士(薬液注入)
  • 1級建築施工管理技士
  • 2級建築施工管理技士(躯体)
  • 建設(「鋼構造及びコンクリート」)・総合技術監理(建設)(「鋼構造及びコンクリート」)
  • 建設「鋼構造及びコンクリート」を除く・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」を除く)
  • 農業「農業農村工学」・総合技術監理(農業「農業農村工学」)
  • 水産「水産土木」・総合技術監理(水産「水産土木」
  • 森林「森林土木」・総合技術監理(森林「森林土木」)
  • 1級型枠施工技能検定
  • 2級型枠施工技能検定
    ※合格後、コンクリート工事に関し三年以上実務の経験を有する者
  • 1級とび技能検定
  • 2級とび技能検定
    ※合格後、とび工事に関し三年以上実務の経験を有する者
  • 1級コンクリート圧送施工技能検定
  • 2級コンクリート圧送施工技能検定
    合格後、コンクリート工事に関し三年以上実務の経験を有する者
  • 1級ウェルポイント施工技能検定
  • 2級ウェルポイント施工技能検定
    ※合格後、土工工事に関し三年以上実務の経験を有する者
  • 地すべり防止工事士(具体的には一般社団法人斜面防災対策技術協会が行う地すべり防止工事試験が該当)
    ※合格後、土工工事に関し一年以上実務の経験を有する者
  • 基礎ぐい工事(具体的には一般社団法人日本基礎建設協会及び一般社団法人コンクリートパイル建設技術協 会が行う基礎施工士試験が該当)
  • 登録橋梁基幹技能者
  • 登録コンクリート圧送基幹技能者
  • 登録トンネル基幹技能者
  • 登録機械土工基幹技能者
  • 登録PC基幹技能所
  • 登録鳶、土工基幹技能者
  • 登録切断穿孔基幹技能者
  • 登録エクステリア基幹技能者
  • 登録グラウト基幹技能者
  • 登録運動施設基幹技能者
  • 登録基礎工基幹技能者
  • 登録標識、路面標示基幹技能者
  • 登録土工基幹技能者
  • 登録発破、破砕基幹技能者
  • 登録圧入基幹技能者
  • 登録送電線工事基幹技能者
  • 登録あと施工アンカー基幹技能者

※基幹技能者とは
登録基幹技能者講習を終了した者をいい、単一の建設業の種類における実務経験を10年以上有する場合について、当該建設業の種類における技術者として認められます。
なお、平成30年4月1日の施行以前に講習を修了した者のうち、対応する建設業の種類に関して10年以上の実務経験を有していないものについては実務経験年数を10年以上有するに至った時点で当該要件を満たすものとします。

保有していれば経験年数が3年に緩和される資格

  • 1級土木施工管理技士補
  • 1級建築施工管理技士補
  • 1級造園施工管理技士
  • 1級造園施工管理技士補
  • 2級とび技能検定

保有していれば経験年数が5年に緩和される資格

  • 2級土木施工管理技士(鋼構造物塗装)
  • 2級土木施工管理技士補
  • 2級建築施工管理技士(建築)
  • 2級建築施工管理技士(仕上げ)
  • 2級建築施工管理技士補
  • 2級造園施工管理技士
  • 2級造園施工管理技士補

一定の実務経験があること

  • とび・土工・コンクリート工事業の10年以上の実務経験があること。
  • 指定学科の高校、大学、専門学校を卒業し応じたとび・土工・コンクリート工事業の実務経験があること

必要な実務経験は高校は5年、大学は3年、専門学校は5年となります。
とび・土工・コンクリート工事業の建設業許可の場合は「土木工学又は建築学に関する学科」を卒業している必要があります。

とび・土工・コンクリート工事業許可における専任技術者の配置(特定建設業)

一定の国家資格

保有していれば経験年数が不要になる資格

  • 1級建設機械施工管理技士
  • 1級土木施工管理技士
  • 1級建築施工管理技士
  • 建設(「鋼構造及びコンクリート」)・総合技術監理(建設)(「鋼構造及びコンクリート」) 技術士
  • 建設「鋼構造及びコンクリート」を除く・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」を除く)技術士
  • 農業「農業農村工学」・総合技術監理(農業「農業農村工学」)技術士
  • 水産「水産土木」・総合技術監理(水産「水産土木」)技術士
  • 森林「森林土木」・総合技術監理(森林「森林土木」)技術士

一定の実務経験があること

一般建設業の専任技術者となる資格要件を満たす者で、とび・土工・コンクリート工事業について、発注者から直接請け負う工事の請負代金の額が 4,500万円以上であるものに関して、2年以上指導監督的な実務の経験を有する者

とび・土工・コンクリート工事業許可における専任技術者の実務経験証明方法について

資格のみで要件を満たす場合は資格証の提示で基本的にはOKです。
実務経験で要件を満たす場合は資格とは違い、必要書類が複雑になります。
詳しくはこちらの記事で解説しておりますのでご確認ください。

経営業務管理責任者の要件

詳しくはこちらの記事で解説しておりますのでご確認ください。

財産的基礎

以下のいずれかを満たしている必要があります。

一般建設業

  • 500万円以上の残高証明書(受付日から1ヶ月以内のもの)
  • 自己資本の額が500万円以上あること
    ※法人の場合 「貸借対照表における純資産合計の額」
    ※個人事業主の場合は「期首資本金+事業主借勘定+事業主利益 -事業主貸勘定+利益留保性の引当金・準備金」

特定建設業

以下の全てを満たしている必要があります。

  • 資本金の額が2,000万円以上であること
  • 自己資本の額が4,000万円以上であること
  • 欠損の額が資本金の額の20%を超えないこと
  • 流動比率が75%以上であること

誠実性

個人事業主については事業主及び支配人が、請負契約に関して、不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと
が必要になります。

欠格要件に該当しないこと

以下に該当しないことが要件となります。

  • 心身の故障により建設業を適切に営むことができない者(精神の機能の障害により 建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことが できない者)又は破産者で復権を得ない者
  • 建設業の営業停止又は禁止期間が経過しない者
  • 不正の手段により許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等により建設業の許可を取り消されてから後5年を経過しない者(許可取り消しを免れるため、廃業届を提出した者を含む。)
  • 禁錮以上の刑若しくは次の法令違反で罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(建設業法、建築基準法、宅地造成等規制法、都市計画法、景観法、労働基準法、職業安定法、労働者派遣法、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、刑法、暴力行為等処罰に関する法律の一定の条文)
  • 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 未成年者でその法定代理人が上記いずれかに該当する者
  • 役員等、支配人、従たる営業所の代表者のうちに上記事項に該当する者がいるもの
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する者

社会保険の加入

※従業員5名未満の個人事業主は健康保険・厚生年金の適用が除外されています。
法人・個人や労働者数などによって加入すべき条件が変わってきます。
国交省のサイトに一覧表があるので確認しておきましょう。
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk2_000080.html


この記事を書いた人
行政書士 山本祐輔

リガース行政書士事務所 代表
山本 祐輔

行政書士/宅地建物取引士/上級ウェブ解析士/2級FP技能士

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